東京都心から少し足を延ばした場所、古都・府中市に、1900年もの時を超えて、今なお荘厳な佇まいを見せる古社があります。

それが、武蔵国の総社(そうじゃ)として、かつてこの国の神々を束ねた最高格式の神社、大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)です。

武蔵国とは、現在の東京都、埼玉県、神奈川県の一部を含む広大な地域を指し、その中心地であった府中に鎮座する大國魂神社は、単なるパワースポットという枠を超えた、歴史と文化の源流とも言うべき場所です。

主祭神は、国土を開拓し、福をもたらす大國魂大神。その御利益は、開運招福、厄除け、そして良縁など、人生のあらゆる局面を力強くサポートしてくださると信仰されています。

壮大な大鳥居をくぐり、歴史ある随神門、そして格式高い拝殿に至るまでの道のり。

さらに、樹齢千年の御神木の大イチョウが秘める伝説や、本殿を取り囲む知られざる末社群など、境内の見どころを解説します。


大國魂神社とは?

大國魂神社は、東京都府中市宮町に鎮座する由緒ある神社で、武蔵国の総社として、かつて国内の有力な六社(小野・小河・氷川・秩父・金鑚・杉山)を合祀した「六所宮」としても知られています。 

創建は古く、第12代・景行天皇41年(伝承では西暦111年)とされる長い歴史があります。
  • 由緒
大國魂神社は、約1900年前に創建されたと伝わる、非常に古い歴史を持つ神社です。

その名の通り、武蔵国の総社(そうじゃ)であり、武蔵国(現在の東京都、埼玉県、神奈川県の一部)にあった約300の神社の神様が合祀されています。

元々は武蔵国の国府(現在の県庁のようなもの)が置かれた場所の守り神として、また国司(現在の知事のような役職)が赴任した際に、最初に参拝する場所として重要視されてきました。
  • 御祭神と御利益
主祭神は、国土を治める神様である大國魂大神(おおくにたまのおおかみ)です。

この神様は、出雲大社の主祭神である大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)と同一神とされています。

主な御利益は以下の通り、非常に多岐にわたります。

開運招福・厄除け:人生のあらゆる困難を避け、福を招く。
縁結び:良縁を結ぶ。
家内安全:家族の平和と安全を守る。
商売繁盛:商売の成功と発展をもたらす。
交通安全:道中の安全を守る。

見どころ①:大鳥居~拝殿

参拝ルートを辿りながら、大國魂神社の境内を散策した見どころを順にご紹介します。
  • 大鳥居
まず神社の入口に立つ大鳥居。
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ケヤキ並木を抜けて現れる真っ白な鳥居は、参道への導入部として壮麗さを感じさせます。

神聖な雰囲気が漂い、参拝の心構えを整えてくれる入り口です。
  • 稲荷神社
鳥居をくぐってすぐの脇には稲荷神社があります。
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朱色の鳥居が特徴で、商売繁盛や五穀豊穣を願う人々が参拝します。

小さな社ながら参道に彩りを添える存在です。
  • 宮乃咩神社(みやのめじんじゃ)
さらに進むとあるのが宮乃咩神社。
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ここは 天鈿女命(あめのうずめのみこと) を祀り、 古くから 芸能の神・安産の神 として信仰されています。

安産祈願に訪れる人も多く、柄杓(ひしゃく)がたくさん奉納されているのが印象的です。

特に「底の抜けた柄杓」を奉納する風習があり、それが「水が抜ける=安産が軽くなる」という意味を持つとも言われています。 
  • 忠魂碑
参道の途中には 忠魂碑 があり、戦没者を慰霊する場所。
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静かに佇む碑からは鎮魂の思いが伝わってきます。

神社全体が地域の歴史や祈りを見守ってきたという重みを感じさせるポイントです。
  • 手水舎
次に手水舎(ちょうずや/手水所)があります。
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参拝前に清めの水で手と口を清める儀式を行います。
  • 随神門
手水舎を越えると、立派な 随神門 が見えてきます。
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随神像(神を守る神)を両脇に配したこの門は荘厳で、参拝者を拝殿へと導く重要な入口です。
  • 鼓楼
随神門を抜けると 鼓楼 が。
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  • 中雀門
進むと 中雀門(ちゅうじゃくもん)。
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ここをくぐると、いよいよ拝殿への最後のアプローチです。

建物や屋根の美しい造りが印象的で、参拝の気持ちが高まります。
  • 拝殿
そして 拝殿。
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木の落ち着いた色合い、伝統的な神社建築の風格が感じられる建物です。

この場所で二拝・二拍手・一拝を行い、しっかりとお参りしました。拝殿は参拝者にとって神様との対話の場。

しっとりとした空気の中で心静かに手を合わせました。

見どころ②:御神木と本殿の周り

拝殿をお参りした後は、本殿の裏手や脇に回って 御神木(ごしんぼく) や末社を巡るのがおすすめです。
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  • 御神木(大銀杏)と伝説
本殿裏には 大銀杏(イチョウ)の御神木 がそびえています。
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伝承によれば、樹齢は約1,000年にもなるとされ、幹の太さ・存在感ともに圧倒的です。 
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神社の七不思議のひとつにも数えられるこの大銀杏には、根元に 蜷貝(にながい) が棲んでいるという伝説があります。 

その蜷貝をせんじて飲むと、産後の乳の出が良くなる、あるいは御神木に手を合わせると 産後の肥立ちが良くなる と信じられてきました。 

こうした伝説は、安産・子宝といった願いを持つ参拝者にとって非常に心強いものです。
  • 本殿まわりの末社・摂社
御神木を巡るついでに、本殿の周りにはいくつもの 摂末社 があり、それぞれに特色があります。

・松尾神社
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祭神は 大山咋命(おおやまくいのみこと)。

醸造(酒、味噌、醤油など)の守護神として、特に酒造家や醸造関係者から信仰が厚い神社です。

府中の酒造家たちが願をかけて勧請された由緒があります。 

・巽神社(たつみじんじゃ)
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祭神は 市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)。

弁財天として芸術・財運・縁結びのご利益を持つ女神です。 

・東照宮
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祭神は 徳川家康公。

府中とは縁が深く、元和4年(1618年)に秀忠によって創建されました。 

・住吉神社・大鷲神社


- 住吉神社:表筒男命・中筒男命・底筒男命を祀り、航海安全・海上守護・除災招福の神様です。 

- 大鷲神社:祭神・大鷲大神(おおとりのおおかみ)。商売繁盛・開運の神として信仰され、毎年11月の酉の日には賑やかな 酉の市(おおとり神社例祭) が行われます。 
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アクセス情報

京王線「府中駅」から徒歩 約5分 
JR 武蔵野線・南武線「府中本町駅」からも徒歩約5分 
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・開門時間
季節によって変動がありますが、一般的には朝6時~17時(冬季は6時半~17時) 

宝物殿(展示施設):土日祝および祭礼日に開館。午前10時~午後4時。拝観料は大人200円、学生100円。

まとめ

大國魂神社は、古代から続く歴史と伝統を持ちながら、今も地域の人々に深く愛されている神社です。

大鳥居から拝殿までの参道は、静謐な雰囲気とともに建築や彫刻、社殿の美しさを楽しめます。

そして、本殿裏の御神木・大銀杏は、伝説とともに「命」の力強さと神秘性を感じさせる存在です。

また、末社には松尾神社・巽神社・東照宮・住吉神社・大鷲神社など、さまざまな神様が祀られていて、参拝の折に巡ることで多様なご利益を感じられるのも魅力。

とりわけ 縁結び、安産、開運、商売繁盛 など、さまざまな願いを込めて訪れることができます。

府中を訪れた際には、ぜひ時間を取って境内をゆっくり歩き、鳥居、御神木、末社など細部まで見て回るのがおすすめです。

心が落ち着き、歴史の息吹を肌で感じられる素敵な神社旅になることでしょう。




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